『永遠家族』
僕はその日
ずっと大好きだった彼女を剥製にした
彼女とは写真の中でしか話した事はないけれど、彼女はとてもいい娘だった
そう
そもそも人が生きている必要はないのだ
全ての人が僕の中にいるとしたら、別にこの世界ではなく僕の世界で生きてゆけばいい
僕の想像をかき立ててくれる姿形でいてくれたら、それでこの世の人達は僕の想像の中で生きてゆける
だから剥製の彼女が一番良かった
たまに彼女がワガママを言ってケンカになるけれど、彼女のそんな所も好きだ
永遠の愛を手にいれた僕にも
一つだけ悩みがある
彼女を放っておいて僕だけ歳をとっていく事だ
永遠の若さ、永遠の美を手に入れた彼女に見合う男になるために、僕も僕自身の画を描いた
よく出来た肖像画だ
僕は誰もこない部屋で、僕と彼女を迎え合わせにして団らんした
そうだ
子供もほしいな
明日は子供を持ってこよう
きっと楽しい永遠家族が出来るぞ
四歳と五歳くらいがいいな
明日つれてくるからね
勿論剥製で