「白」 兄は眠っている。 もう何年も眠っている。 大きな病院の、一般病棟からだいぶ離れた少し大きい部屋のベッドで眠っている。 僕も眠る。 兄ほど長くではないけど、毎日眠る。 ある日、夢に兄が出てきた。 そして僕に言った。 白は色じゃない。 白は 無だ。 僕は目を覚ました。 僕は思った。 兄は生きてる。 でも、 もう起きないかもしれない。