『つむ』
将棋でいう『詰める』というのは
その対局の終わりか、はたまた次の対局のはじまりか
もしくは次は全く別のものが始まるのか・・・
僕は詰め切れずにいた
彼女とはとても仲がよく、周りからみても『いつ付き合ってもおかしくない』と思われていた
そんなある日、彼女から飲み会をしようとの誘いを受けた
僕達二人が幹事の飲み会だ
四人対四人の、いわゆる合コンである
当日
少し遅れて彼女達はやってきた
なんとなく空いていた僕の隣に彼女が座るのだろうと思っていた
僕達は仲がいいし、二人は幹事だ
それは勝手に当たり前の事だと思っていた
しかし彼女は空いている僕の隣の席には座らなかった
彼女は何も迷う事なく前の席に座った
いつもそこにいるはずの彼女は、何故だか知らないが僕の友人の隣に座って僕の友人と談笑している
来た瞬間僕の友人の事が気に入ったのか、いよいよ最後の一手を打たない僕に嫌気がさしたのか
空気を読んで、この場を盛り上げる為にそこに座ったのか、そもそも最初から僕の事など好きではなかったのか
色々な思いが交錯している僕は、彼女の方をみれなかった
何かを読み取られるのが怖かったのかもしれない
そのまま飲み会は終わり、彼女は僕の友人と連絡先を交換している
ゼロキュウゼロ
彼女の口から発せられるこの言葉は、最悪なほど息苦しく、僕の想いを冷めさせる一つの要因となった
花はいつか散る
その花が散るといった自然界の動きは、その花の終わりを告げるものなのか次の花の始まりを告げるものなのか
もしくはその花を失いたくないのであれば、自ら摘んでドライフラワーにした方がいいのか
私はあと一歩を踏み出せずにいた
彼とはとても仲がよく、周りからみても『いつ付き合ってもおかしくない』と思われていた
そんなある日
私の友人が彼氏が欲しいとぼやいていたので、その彼に頼んで合コンをセッティングする事になった
私達の進展も欲しかったのも事実だ
彼は快諾し、その日を迎えた
少し遅れて着いた私達はそれぞれ空いている席に座った
私はあまり会う事が出来ない彼の顔を見たかったから彼の正面の席に座った
この場所だけは誰にも譲りたくなかったから一番にその席を選んだ
彼は集団にいても、時々さみしそうな顔をする
そんな表情が好きだった
色んな人と会話をしたのだろうけど、私は彼の方しか見ていなかったのでほとんど聞いていなかった
飲み会は終わった
少し欲しかった私達の進展は、今の所あれからはない
摘むや摘まざるや
詰むや詰まざるや
摘むや摘まざるや
詰むや詰まざるや